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労務問題
従業員とのトラブル、サービス残業の問題、就業規則の不備、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント・・・
中小企業において法律問題の中で一番相談件数が多いものが労務問題です。
一見小さな問題が、時に労働組合を巻き込んで経営の根幹を揺るがすような大きな問題になることもあります。
労務問題の解決は普段の事業主としての問題意識、然るべき内部ルールが最も効果的な対策です。
労務問題の注意点
労務問題の一番のポイントは事前対策と早期治療です。
労務問題は経営上の重大な問題であり解決するには専門家へ相談したほうがよいでしょう。
早急に解決し、経営の基盤に注力することが会社にとっても、社員にとってもベストだといえます。
また内部で起こる問題であるため、問題が起こった場合、もしくは起こりそうな場合には外部の専門家の意見が効率的に解決へと導きます。
また事前の対策として内部のルールを定めることも重要です。
代表的な労務問題
一口に労務問題といってもその労務問題は多岐に渡ります。
・採用時の労務対策
・セクハラ・パワハラ問題
・残業代問題
・退職・解雇問題
従業員を解雇する場合
会社にとって問題を起こす社員がいる場合や、人員の整理が必要な場合、方策として解雇を考える場合があります。しかし解雇は簡単にはできません。
労働者側からすると極めて重大な効果を持ちます。解雇は結果的に労働者の就労、生活の糧を失わせることになるからです。
そのため、
法律・判例で厳格な要件をクリアしなければ、解雇の効力は認められません。
法律上、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効になる」と明確に定めています(労働契約法16条)。
経営者は労働者に解雇事由(理由)があると考えたとしても、その理由を慎重に検討するとともに、慎重な手続の下に解雇をしなければなりません。
従業員を解雇する場合は3つに分かれます。
(1) 懲戒解雇
企業秩序違反に対する制裁の側面を持つ解雇です。例えば、経歴詐称、無断欠勤、犯罪行為などをした場合に、就業規則の懲戒事由に該当することを理由に解雇される場合です。
その場合でも、例えば、従業員に改善の余地があるなどの一定の場合には、懲戒解雇は無効とされます。
(2)整理解雇(人員整理)
使用者側の経営上の必要性(経営悪化に伴う余剰人員の削減など)に基づく解雇です。
これまでの判例においては次の4要件を満たす必要がある場合が多いです。
・整理解雇の必要性
・配転による剰員吸収措置
・人選の合理性
・労働者側との協議
(3)普通解雇
(1)、(2)以外で、様々な理由で労働契約を履行し得ない場合になされる解雇です。
使用者が労働者を解雇しようとする場合
使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。
反対に30日前に予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(予告手当 労働基準法20条1項)。
また、1日分の平均賃金を支払った日数だけ、予告日数を短縮することができます(同条2 項)。
予告手当は、解雇の効力が発生する日に支払わなければなりません。
予告手当を支払うことなく行われた即時解雇の申し渡しは、予告手当が支払われるまで、又は、30日が経過するまで解雇の効力が生じません。
労働審判
労働審判手続は、平成18年4月からはじまった制度です。
企業と従業員の実情に即し、迅速かつ適切に解決することが目的とされています。
労働審判の手続きは、労働審判官1名と、労働審判員2名(企業側、従業員側それぞれ1名)によって進められます。
労働訴訟の場合、解決までに1年近くかかってしまうこともあります。
一方、労働審判手続きを利用すると、原則として3回以内の期日で結論を出すことになります。
場合によっては、1回目の期日、2回目の期日で終わることもあります。
3回の期日を経たとしても結論がでるまで、約3ヶ月です。
労働審判は、企業にとって「時間的な負担が少ない」「金銭的負担が少ない」というメリットがありますが、期間が短い分各期日の準備を迅速かつ適正に進めなければなりません。
第一回の期日は、原則として労働審判の申し立て日から40日以内に指定することになっています。
労働審判を優位に進めるには、第一回までの準備が重要になります。
この準備を経営者が自ら進めるのは容易ではありません。
また期間も短いので問題が発生したらすぐに弁護士に相談し、適正な準備を進めていくことをお勧めします。
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